初めての仕事は「好きなことを仕事にする」
愛知の高校を卒業して、社会人になったFさん。
当時まだ10代で社会のことはほとんど無知のまま、就職活動をしていたので、働くことの意味、価値、やりがいなどFさんの考えの中にはまったくなかった。
「好きなことを仕事にできたらいいかな~」それくらいの気持ちでいた。
思うように就職先が見つからないまま、高校を卒業。
正社員を希望していたが、好きな「洋服」の仕事はアルバイトがほとんど。
「好きなことを仕事にする」唯一そう決めていたことから、まずはアルバイト店員としてアパレルショップで働き始めた。
Fさんにとってこれが始めての社会人経験であった。
好きな洋服を売ることはFさんにとって難しいことではなかった。
ゆえに販売成績は常にトップクラスで上司からは正社員になることを進められた。
しかし、「洋服が好き」という理由で何となく始めたアルバイトは、シフト制で勤務時間が定まっておらず、夜遅い時間に帰宅することがほとんどであった為、体力的にも精神的にも毎日疲れきっていた。
正社員の先輩たちは、もっと長い時間働いていることを知っていたFさんは、洋服は好きでもこの会社で長く働くことは想像できなかった。
そしてFさんはアルバイトを辞め、正社員として一般企業の事務に転職した。月曜日から金曜日、朝9時から夕方5時という決まった時間で働くのは初めての経験で新鮮だった。
前職とのギャップ
Fさんが入社した企業の事務業務は毎日がデータ入力。黙々と仕事をすることが多く、前職のアパレルショップでのギャップを感じでいた。
正社員雇用であった為、給料はアルバイト時代の1.5倍。初めてのボーナスももらった。
ただ、販売員をやっていたころのやりがいはなかった。
「あの頃と何が違うのだろう・・・?
そうだ、好きなことを仕事にするその気持ちだ!」
この時初めてFさんはアパレルショップで大好きな洋服たちに囲まれて、お客様に商品を選んでいただけたときの喜びに気が付いた。
ただ、事務職として未経験の自分を受け入れてくれた会社に貢献したい気持ちもあり、
「まずは3年頑張ろう!3年後に同じ気持ちなら転職しよう!」そう決めて一生懸命事務スキルを伸ばしながら営業職のサポート業務をするところまで成長した。
自分の可能性に気が付いた転職面談
事務職として働き始めて3年、「好きなことを仕事にする」という思いはFさんの中で消えていなかった為、2度目の転職を決意した。
「洋服の販売以外の仕事で好きなことを仕事にすることはできるのだろうか」
「これまでの経験を活かせるような仕事は何なのか」
自分一人では考えがまとまらなかったFさんは、自分に「人事採用職」のオファーメールを送ってくれたみらい人材サポートに相談をした。
「人事採用の仕事」ー――。面接とか人事異動とか人の人生を左右するような、“重たい仕事”Fさんはそう思っていた。なぜ自分に人事職を紹介してくるのか、何かの間違い?興味本位でみらい人材サポートとの転職面談を行った。
みらい人材サポートのキャリアアドバイザーとの面談で自分のこれまでの経験を語った。特にアパレルの販売員時代に扱っていた商品の魅力について前のめりになって話をした。
転職活動の具体的な話で、「私が人事職って何かの間違いですよね?私、人事異動とか採用面接とかやったことないですよ。」そう伝えた。
するとキャリアアドバイザーは笑顔で、「いえ、思った通りFさんは人事職に適していますよ。」そう答えた。
キャリアアドバイザーが感じたFさんの印象は、「会社の魅力を伝えることが得意な人」だった。
「会社の魅力を伝えることができる人は人事採用職に適していますよ」
それはFさんにとって目からうろこだった。
人事採用の仕事は面接官として自社に適している人物であるかどうかを見定めることと同時に就職希望者に選ばれる企業であるためにも、自社の強みや働き方などを魅力的に伝えることも人事職の大切な仕事であることをFさんはこの時初めて知った。
人事採用職に携わることで、これまで自分が意識してきた「好きなことを仕事にする」楽しさややりがいを自分のような転職希望者や大学生に伝えることができるチャンスなのかもしれないと感じ、人事職への応募に向けて進めた。
Fさんの常に前向きな姿勢に人事担当者からも「一緒に仕事がしたい」と評価され、愛知県名古屋市内の技術者派遣の企業にて人事採用担当者として入社することとなった。
人事採用担当者として転職希望者の方に伝えたいこと
Fさんは入社後の3か月間の研修で、事業内容について知ることから始めた。実際に技術者の研修にも参加して、モノ造りについて学び、そして半年後、ついに採用現場へのデビューを果たした。
最初から「好きなこと」だけに注目して就職先を選択することは非常に難しい。
そのため、入社後に自分が勤めている会社やそこで取り扱う製品、そしてそこで働く社員のことを好きになれるかどうかが大切である、とFさんは言う。
だからこそ、就職・転職希望者に自社の魅力を伝え、選んでもらえる企業であることが人材採用担当者としての使命であるとFさんは考える。
そして入社いただいた方が、「この仕事が好きだ」と思ってもらえることこそが、Fさんのやりがいに繋がっている。