製造業や工場の求人で頻繁に見かける「組立作業」は、モノづくりの現場で欠かせない重要なポジションです。「何かを組み立てる作業」であることは想像しやすいですが、実際の工場では具体的にどのような作業が行われているのでしょうか?
今回は、モノづくりの魅力を存分に味わえる製造職の一つである組立作業の仕事内容について、カンタンに解説します。
組立作業の仕事内容をカンタン解説
製造業・工場で大活躍 組立作業の仕事内容
組立作業とは、部品やパーツを組み合わせて製品を完成させる工程を指します。作業者は組立図面(マニュアル・設計図など)に基づいて手作業や機械を使い、部品を正確に組み合わせていきます。工場や部署によっては「組付け作業」とも呼ばれ、製造職には欠かせない重要な仕事の一つです。
基本的に定められた手順に従って作業を進めるため、製造職の経験がない未経験者でも安心して挑戦できる職種です。また、自分の手でモノを作るというやりがいを感じられる、魅力的な仕事です。
組立作業の仕事の種類
製品は自動車や大型機械、精密部品やプラスチック製品など、多種多様にわたります。扱う素材によって具体的な作業内容も異なってくるでしょう。
自動車の組立作業
自動車の組立の仕事は、各種部品を組み合わせて完成車を作り上げる工程を担当します。この工程は主に次のような段階に分けられます。
■プレス工程
金属の板をプレス機で成形し、車のボディパネルなどをつくります。
■ボディ組立工程
プレス工程で作られたパネルを溶接し、車のボディを組み立てていきます。ロボットと手作業の両方が用いられます。
■塗装工程
組み立てられたボディを塗装します。塗装は防錆効果や見た目の美しさを保つために重要な工程です。
■組立工程
塗装されたボディに各種部品を手作業や工具を使って取り付けます。大型部品は、クレーンやロボットアームを使って正確に設置していきます。この工程が最も複雑で時間がかかってきます。
自動車をつくる会社といえば、日本・愛知の産業を支えるトヨタ自動車が挙げられます。
トヨタ自動車は、「トヨタ生産方式(TPS)」として知られる効率的かつ高品質な生産システムを採用しています。TPSは、ジャストインタイム生産方式や自働化などの原則に基づいており、組立作業においても無駄を排除し、高い生産性と品質を実現しています。
自動車の組立の仕事は、トヨタ自動車の品質と信頼性を支える重要な役割を担っており、モノづくりの現場で働くやりがいと誇りを感じることができるでしょう。
■トヨタのクルマができるまで
■【定点カメラ】機械の組み立てプロセス
電子部品・精密機器の組立作業
電子部品や精密機器の組立の仕事は、小さな部品を正確に組み立てて完成品を作り上げる工程を担当します。この工程は主に次のような段階に分けられます。
■部品の準備
必要な電子部品や精密機器のパーツを取り揃え、作業台に配置します。
■基板の組立
基板に電子部品を配置し、ハンダ付けや手作業で部品を固定していきます。細かな作業が多いため、高い精度が求められます。
■ユニット組立
組み立てられた基板を、ケースやシャーシ(枠組み)に取り付け、配線やコネクタの接続を行います。
■調整と検査
組み立てた機器を動作確認し、必要に応じて調整を行います。
ミリ単位で組み立てる作業も発生してくるため、手先の器用さや高い集中力が求められます。
■電子機器組立(職業情報提供サイト(日本版O-NET)職業紹介動画)
プラスチック製品の組立作業
プラスチック製品の組立の仕事は、成形されたプラスチック部品を組み合わせて最終製品を作り上げる工程を担当します。この工程は主に次のような段階に分けられます。
■部品の準備
成形されたプラスチック部品を取り揃え、不良品がないかチェックします。
■接合作業
・接着作業
接着剤を使用して部品を固定する作業です。適切な量を使用し、正確に接着する必要があります。
・溶着作業
熱を利用してプラスチック部品を溶着する作業です。接合部が溶ける温度まで加熱し、加圧・冷却して接合していきます。
・スナップフィット
部品同士をはめ込むだけで固定する方法です。工具を使用せずに簡単に組み立てられるのが特徴です。
・ネジ留め
プラスチック部品にネジを使用して他の部品を取り付けます。
■検査と調整
組み立てた製品が設計通りに機能するかを確認し、必要に応じて調整を行います。
■プラスチック加工興和様movie6組立
その他の組立作業
上記以外にも、木材でつくられる椅子やテーブルなどのインテリア品、おもちゃ類、スポーツ用品、住宅建材など、業種によって組立作業の仕事は数多く存在します。
自分の興味関心や適性にあわせて、製品や業種を選びましょう。
組立作業の魅力・大変さ
組立作業の魅力
やりがいと達成感
組立作業の仕事は、実際に自分の手でモノをつくっていくため、モノづくりの醍醐味を直に感じることができます。
完成した製品を一番最初に目にすることもでき、また出来上がった製品が市場に並んでいることへのやりがいと達成感を味わうことができます。
未経験からでも挑戦しやすい
組立作業の仕事は、組立図面を元に正確な製品をつくりあげることが重要です。作業内容は基本的に決まっているルールがありシンプルなため、製造未経験からでもチャレンジしやすい仕事内容です。
スキルと知識を身につけやすい
組立作業の仕事は、細かな手作業や深い製造知識が求められてきます。実業務を通じてさまざまなスキルを身につけることができるため、技術者としての成長を身につけやすいです。
チームでモノづくりをできる喜び
組立作業の仕事の中でも、大きな製品になるほどチーム全体での作業が必要となってきます。お互いにコミュニケーションをとりながら、ひとつの製品をつくりあげる喜びを実感できます。
組立作業の大変さ
組立作業には多くの魅力がありますが、同時に大変なところもあります。以下に、組立作業における主な大変さについて解説します。
単調な作業の繰り返し
組立作業の仕事は、同じ動作を長時間繰り返すことが多いため、単調さを感じる方も多いです。また、細かな作業も必要となってくるため、集中力を維持するのが難しくなってきます。目の疲れ、手先の疲労で負担がかかることがあります。
立ち仕事・同じ姿勢での作業
多くの組立作業の仕事は立ち仕事だったり、同じ姿勢で長時間し続けることが多いです。これにより、腰痛や足の疲れなど、身体的な負担がかかることがあります。
高い品質が求められるプレッシャー
どのような仕事でも責任は求められますが、組立作業は製品をつくるための重要な要であり、高い品質が求められます。また、作業スピードや正確さの両立も必要となってくるため、プレッシャーと感じることもあるでしょう。
技術のアップデートが必須
組立作業の仕事は、新しい技術や製品が次々と導入されます。そのため、常に新しい知識や技術を学び、アップデートすることが必須となってきます。継続的な学習意欲と適応力が求められます。
\現場の声/モノづくりのプロから組立作業の魅力を聞いてみました!
自分の手でモノを作り出す実感を味わうことができています!
生産準備の仕事をしていましたが、自分の手でモノをつくりたいと考えて転職を決意。実際に組立の仕事に携わり、日々モノづくりの楽しさと難しさに向き合うことができ、働きがいを感じています。
「モノづくり」を楽しんで仕事に取り組めています!
いわゆる業界用語というものが全く分からない未経験から製造職に飛び込みました。最初は大変でしたが、目の前でモノが組み立てられていくのを見るのはやりがいがあります。チームで大きな機械の組立をつくりあげた時は、達成感がありました。
組立作業を経験し、仕事への向き合い方が変わった!
組立作業はマニュアル通りにつくればいいだけではありません。常に効率やスピードを意識して、よりよいものが出来上がるように改善することも考える必要があります。組立の仕事に携わってから、失敗しないように、より品質の高いものを届けるためには、と仕事に対して向き合う時間が増えて良かったです。
組立作業に向いている人
組立作業に向いている人の特徴は以下の通りです。
モノづくりに興味関心がある
やはり、製造に関する仕事に携わるためには、必要不可欠な要素です。モノをつくりあげる魅力ややりがいを味わいたいという気持ちが強い人におすすめします。
細かい作業が得意、手先が器用
組立作業では、小さな部品を扱ったり、精密な作業を行ったりすることが多いです。そのため、細かい作業が得意な人が向いています。また、手先の器用さは、組立作業の正確さと効率に直結します。
集中力や忍耐力がある
長時間にわたって同じ作業を続けることが多いため、集中力を保つことが重要です。細かいミスを防ぐためにも、高い集中力が求められます。また、組立作業は単調で反復的なことが多いので、忍耐力が必要です。単調な作業を苦にせず、継続して行える人が向いています。
協調性がある
組立作業はチームで行うことが多いです。他の作業員とのコミュニケーションや協力が必要になる場面が多いため、協調性が重要です。
納期管理ができる
決められた納期内に作業を完了することが求められるため、時間管理能力が重要です。効率よく作業を進めることができる人が向いています。
品質意識が高い
品質管理が厳しい環境では、細かい部分にも注意を払い、品質を保つ意識が高い人が求められます。
これらの特性を持つ人は、組立作業に向いています。ただし、業種や扱う製品によって、求められるスキルや特性は異なる場合があります。
組立作業と製造業の将来性
製造業では人手不足が深刻化しており、人材の確保・定着が大きな課題となっています。そのため、多くの工場では人手不足の解消・業務効率化のためにロボットなどの最先端テクノロジーを導入し、自動化・省人化の動きが活発です。
このような動きから「ロボットに人の仕事が奪われるのでは?」という懸念もよく目にしますが、こういった中でもまだまだ人の手が必要な工程や作業は数多く存在します。
ロボットにはできない、”人の目” ”人の手”だからこその細かな組立作業や品質チェックは必要だからです。また、利用するためのロボットの仕組みを考えたり、プログラムを組んだり、保全を行う必要もあります。
組立作業に携わりながらも、将来的に現場で活かせる技術を身に付けていきましょう。
製造の魅力!組立業務はモノづくりを支える
今回は、組立作業の仕事内容をカンタンに説明しました。
組立と言っても、業界や扱う製品によって多種多様な手法があります。あなたが興味関心を持つ仕事を見つけるためにも、製造業のリアルを知ることが重要となってくるでしょう。
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