皆さんが毎日食べている食品。それは、もっとも身近な商品の一つであり、私たちの生活には絶対に必要なものです。そのため、食品メーカーは製造業の中でも特に景気に作用されにくい安定した需要があり、就職先・転職先としても人気があります。
そんな食品業界では、イベントや季節ごとに新商品が投入され、厳しい競争にさらされます。商品開発はメーカーの仕事の中で最も上流の仕事であり、流行やトレンドを捉えながら、開発した商品をお客様に評価していただく最前線の仕事でもあります。
自らが開発に関わった商品をコンビニやスーパー、デパートなどで見かける時には大きなやりがいにもなるでしょう。
今回はそんな食品メーカーの商品開発について、具体的な仕事内容を紹介していきます。
目次
商品開発の流れ
食品の商品開発と聞くと、調理を繰り返し美味しい商品を作る仕事を想像されるかもしれませんが、実際の仕事内容は多岐にわたります。
また、各メーカーによって開発部門に任される仕事の範囲に大きな差があり、企画や実製造まで開発部門が関わるメーカーもあれば、味づくりのみ任される場合もあります。
そのため、転職時には自分の求めている仕事内容と合致するか、面接等で確認しておくと良いでしょう。ここでは、新商品の企画から、実際に製造するまでの流れを説明させていただきます。
商品企画
商品開発ではまず、どういった商品を作るのか企画から始まります。そのために、様々な情報収集と分析を行います。次に、その結果を基に具体的な商品についてのアイデアを出してゆき、開発する商品の方向性を定めてゆきます。
リサーチ
ターゲット層の明確化、競合品の存在、市場の流行等、顧客のニーズを調査、分析します。社内の営業部門と協力する場合や、外部のリサーチ会社を利用することもあります。
新商品のアイデア出し
リサーチの結果を基に商品のアイデアを出していきます。容量や価格、味のイメージ等もこの段階である程度明確にします。通常は複数のアイデアの中からそのコンセプトを評価し、有望なアイデアを選定して実際の開発に着手していきます。
商品試作
決定したコンセプトに沿って試作を繰り返し、試食を重ねて評価をします。使用する原材料や配合割合を決定する重要な工程ですが、味だけでなく、原価や工場生産時の課題等様々な要素を考慮してレシピを作成していきます。
味づくり
使用する原材料や配合量はもちろん、投入する順番、加熱時間や撹拌時間等の製造工程によっても品質が変化するため、試作は無限の選択肢があります。決められた期限の中で、数多くの試作と評価を繰り返します。
課題の抽出
味は重要な要素ですが、美味しければ良いというわけではありません。
高価な原材料は使用量を抑えたり、防腐性が問題ないか調べたり、味以外の品質にも問題がないか考慮しながらレシピを作成します。
また、キッチンレベルでは問題がなくとも、工場レベルで製造する場合には問題が生じる場合があります。製造担当者とコミュニケーションをとりながら、実製造時に問題が生じないか、課題を予測し、その対応策を検討しておきます。
実製造
いよいよ工場で製造です。通常は、まず少ロットを製造して問題がないか確認します。
作業自体を開発部門が行うことはあまりありませんが、品質チェックやレシピ変更の必要がある場合もあるため、開発部門にも関係があります。
その他の業務
以上が、商品開発の大まかな流れになります。実製造を行い問題がなければ、いよいよ商品は出荷され、お客様の手元に届くことになります。 しかし、上記の仕事以外でも、開発部門には様々な仕事が関わってきますので、以下で紹介しておきます。
ラベルやパッケージ製作
デザインは別の部署が行うことが多いですが、原材料表示や使用方法等は開発部門が作成する場合もあります。
また、ラベルや広告に記載する味の表現や、お勧めのメニューに開発部門は意見を求められます。
新素材の検討・評価
自社で使用していない新しい原材料を採用するかどうか、味や使い勝手の評価を行います。自社で素材の製造も行っている場合は、基礎研究を行っている部署と意見交換をして、より良い原材料を見つけることも重要な仕事です。
品質管理
実際に日々製造された商品に問題がないかチェックをします。機械分析以外で、味や香りを人間が評価する仕事もあり、開発部門が担うこともあります。また、食品の原料は天産物を主に使いますので、同じ原料であってもとれる時期や場所によって微妙に品質に差が出る場合があります。それらの微妙な変化をなるべく少なく、常に一定の品質の商品をお客様にお届けするため、その品質管理に関わることもあります。
食の安全性や品質に対して消費者からは厳しい目で評価されます。たとえ、ヒット商品であっても食の安全性が揺らぐような事態に陥れば、その影響はとてつもなく大きくなるでしょう。
まとめ
食品は人々にとって身近な存在であり、それを製造する会社もまたお客様にとって身近な存在です。誰もが知っている大企業がある一方で、味の好みは地域差が大きく、地元に深く根差した歴史ある企業も多くあります。
東海地方(愛知・岐阜・三重)は独自の食文化を築き上げており、また、関東と関西の間に位置するため、どちらの大消費地にも商品を輸送するコストが抑えられるメリットがあります。そのため、魅力的な食品会社が数多く存在します。自分が開発した商品がお店に並んでいる姿を見るのは、本当に嬉しく、やりがいのある仕事です。